先日、「カバーに書かれたあらすじが総てを説明してないか?」と懸念していたアレ。
想像通り、カバーで内容はほぼ全部説明されていたよ。吃驚だよ。
まさか、夏の読書感想文を書く人の為、とかなのかなあ。まさかなあ。
化物屋敷での死体展示や鏡ばりの部屋での逃走、背広を「セビロ」と何故かカタカナ
で書く独特の言葉遣い、「ああっ、あれは●●ではないか。」と、地の文章で驚いて
しまう盛り上げ過ぎの文体(大好き)などなど、乱歩ワールドがばりばりに展開され
ていて楽しめた。
特に笑ったのは
「何故復讐するのかを説明するために、被害者を殺す前にわざわざ劇団を呼び寄せて
芝居を見せる犯人」。
しかも地方の屋敷の地下で、被害者ひとりに見せるためにだよ。
わざわざ脚本を書いて、劇団を雇って、演出もしたんだろうなあ。頑張るなあ。
こんな感じで乱歩の犯人はいつも、「そこまで頑張らなくてもいいよう」と言うくら
い裏の仕事を細かく頑張るので、読んでて切なくなる程だ。
21世紀だったら銃で「ずどん!」と殺してしまって終わり、の話に、30年も40年も掛
けて復讐の網を張るのだ。ロマンなのだ。
今回の犯人も、地位をしっかりと築いてから復讐を始めたりしていて、途中で「もう、
復讐は止めよう。」と思えば、ものすごく良い人生を送れたのでは、とすら思えた。
でも、もはや復讐が人生の生き甲斐になってしまっていたら、それを止めることはで
きないんだろうなあ。それも切ないなあ。とか、別のところで感動してしまったり。
なにしろ、犯人は前半戦くらいでわかってしまうので。当時は斬新だったのかな、こ
の犯人って。でも、いいの。乱歩だから。許します。
絵は今回の主人公のひとり「宗像博士」。説明された通り、ロイド眼鏡にちょび鬚、
三角のあご鬚、と描いてみたのだけれど、とてつもなく怪しいな、これ。

