
「攻殻機動隊S.A.C.」シリーズ最新作にして、100分を超える初の長篇。
以前からこのシリーズは「大人」な作りだなあと思っていたけれど、今回も大人。
キャラが「成長」というより「老けてる」ところも(バトーさんの断髪理由は失恋なの? 少女みたいで可愛い)、
チーム編成で作られたせいか、統制のとれた「ひとり語り」じゃない脚本も、
シリーズの主要人物がさりげなくオールスター出演だったり、「光学迷彩」などの「攻殻用語」もキッチリおさらいしてたり、映画版との対比を見せるサービス精神も、
何より、近未来を語ってる筈なのに、「今、ここ」の事を考えさせられるテーマも。
哲学的とか、壮大で曖昧になりがちなアニメーションにおける「むつかしい話」ではなくて、具体的に真正面に切り込んでくるあたり。
そして、いつもいつも、「矛盾を認められない、純粋で凶暴な子供の論理」と「矛盾を認めた上で戦う大人の論理」がせめぎあう。
今回は、「今まで大人である事を自分に命じて来た人の子供の部分」が、シリーズ二つを経て遂に立ち上がった話だったんだ、と、個人的には感じてる。
そんな事を考えながら、何故か「膝をすりむいて泣く少佐」を描いた。
何が困るって、「虐待されている子供が、親元に帰った」ことをメデタシメデタシとは、かっぱもどうしても思えないことだ。
「ゴーストのリサイクル」という、物凄く国民をモノ扱いした見下した物言いだとは言え、(洗脳するという話さえ出なければ)親族からの虐待死から子供を救い、子供を愛してくれる別の親元で幸せに育つ子供となれるわけで、それを「悪いことだ」とは、言い難い。
凄く困る。困るなあ…。
とは言え、今回の脚本には根本的な無理を感じるところも、結構有り。
二万人を超す子供が失踪したとして、親の記憶だけを消滅させても、その他家族や周囲の人についてはどうするんだろう?
いくら「超ウィザード級ハッカー」でも、それは物理的にむつかしいんじゃないのかな?
そうでもないのかなあ?
さて、その他「脚本の無理」として、タチコマの実体が何処にあったんだ5体も。という事なんだけれど、
それはまあ許す! どんな無理な設定でも許す。 ウェルカムバック・タチコマ! わーい。
格闘シーンも以前より強くなってる感じ。バトーさんとの連係プレーにも拍手。スバラシイ。
個体名「マックス」と「武蔵」に笑った、笑った。
あれはゴーストを持ったタチコマ達が自分で名前をつけたのかな。「ボク、武蔵にする」とか?
それとも少佐がつけたのかなあ? 「お前が武蔵、お前がマックス」とか。
考えるだに笑える。
あと、ラストのバトーさんの「肩に手を置くのに躊躇う」のも微笑ましかった。

