2007年04月09日

【はみだし随筆】ロボットとホビットは違うんです

今回の「指輪物語」完読にあたっては
「とりあえず『裂け谷』に辿り着く位までは読み飛ばしてもいいよ、
二部からが面白いよ」
というナイス・アドバイスをいただけたのが大きな力になった。

「指輪物語」、
特に「序章」のあまりのことに読むのを断念した人も多いだろうなあ。
だって、例えば日本の現代小説を始めるにあたって、
「まず日本というのは、イザナギとイザナミが作って…」
っていう話から始めるような勢いなんだもの。

これから物語に初めて入る人に対して、
どうしていきなり全く必要のない無駄知識
「ホビットのパイプ草の起源について」を真面目に講釈する必要があるんだよ?
編集者じゃなくても、
「これじゃお客さんついて来ませんよ!先生!」と言いたくなってしまう。

思うに、これを書いたトールキンて、本当にコアなオタク気質なんだろう。




ほら、「ガンダム」について全く知らない人に説明しなさい、とか言う時、
「連邦と、独立しようとする小国の間に起こった戦争に巻き込まれる話」とか、
まあもっとザックリとした説明のしようもあるというのに、
「宇宙世紀0079」「コロニー落とし」から説明しないと駄目、みたいな。

「ロボットとモビルスーツは違うんです」というのと、
「ホビットにはハーフット、ストゥア、ファロハイドという3種族がいて」というのは、
どちらも他所から見たら
「心の底からどうでもいい。」「どっちも一緒。」な問題なんだけどもなあ。

有り余る愛情が錯綜して、あれもこれも全部知って欲しい、知っておいて欲しい、という感じ。
自分の愛情と相手の愛情の差が見えなくなっちゃってる感じ。
…気持ちは、よくわかるんだけどな。。。

でも、そんな爆裂した愛情があるからこそ、
人の心を一度捕まえたら離さない、強い魅力のある、構築された世界を作れるのだろう。

それに、考えてみるとちょっと昔の小説って、こういう
「世界に入るまでのハードルが高い」作品が多かった気がする。
そして、読者の方も、他に娯楽が無いせいなのかどうなのか、
そのハードルに喰らいついていってたんだろう。

「指輪」は今でも「名作だから」という事や映画の追い風もあって、
「読もう!」として頑張ってくれる人が多いのだろうけれど、
現代でこういう作品をいきなり発表して、読んでくれるお客さんって、いるのかな?
今は「いち早くお客さんをひっぱりこむ」事が重視されてる時代だものな。

けれど、よく考えてみると、「ハードルが高い」作品の方が、一度捉えられてしまうと深くて、
一生忘れられないようなものが多い気がする。
何度も読み返す、スルメみたいな、蟻地獄みたいな奴が。

口あたりがいい滑らかな、すぐに消えてしまうものも大好きだけれど、
(例えばアイスとか、プリンとか、お気楽エッセイとか、)こういうスルメみたいなのも、
これからもなるべく摂取していきたいな、と、思う次第。
posted by κ at 21:10| Comment(0) | TrackBack(0) | はみだし随筆 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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