この文句を本の中で、何回聴いたことか。
「惚れたらお終い」という恋の力よりも、
「やっぱり美しい顔が惹き付けるものは、何か凄い」
という妙なパワーをしみじみと感じる一冊だった。
初回、乱歩を読むのが久しぶりだったので、
ついつい「乱歩だから」の気持ちを忘れて、
「本格推理」な気持ちで読んでしまって、失敗。
乱歩だっちゅうの。荒唐無稽だっちゅうの。
推理云々、オチ云々の細密な部分よりも、
「なんと、虎が!」「なんと、時計仕掛けが!」とか、
その物凄い展開と雰囲気を楽しむべきなのだった。
(註:乱歩にも本格ものもあるけど、まあ、こういうのも多い)
二回目は、楽しめました。
創元推理文庫で読んだのは初めて。
素晴らしい挿絵つきなのが良かった。
今まで頑に春陽堂で読んでたけども、挿絵付きのは、
こっちにしようと思う。
<ねたばれ>
困ったのは、
本作品のポイントとなる、
「彼女の美しい顔が美容整形による変身だった」部分。
そうか、美容整形って当時は無かったのだから、
結構画期的な話だったんだろうな、と考慮しつつも。
「人間を生まれ変わらせる」と豪語する
「神様(つまり整形の先生)」がさ、
凄く格好よくも恐ろしい人物である筈なのにさ、
高須の克っちゃんにしか思えない。
(註:美容外科大手「高須クリニック」院長。脱税王者。
漫画家・西原理恵子の作品にちょくちょく出演。
自分自身に最先端の美容整形を施してることでも有名。)
http://www.takasu.co.jp/about_takasu/dr_takasu/index.html
めくるめく乱歩の世界にサイバラを混ぜたくない、
混ぜたくないのに、読めば読む程、
「アメックスのブラックカード無限大を使用する高須」
の顔ばかりが浮かんでは消え浮かんでは消え。
ああ無情。
乱歩先生も、
まさか21世紀には「プチ整形」なんてものを一般市民までもが施すとは思わなかったであろうな。
ただ、美容整形が無い時代の想像だというのに、
整形の方法について
「こめかみの部分に切れ込みをいれて分りづらくする」とか、
更には
「腿や尻を切って、そこから脂肪を吸い出す」
というまさかの脂肪吸引までしっかりと書いてあったのには、驚いた。

