そんな彼にジェラシーしまくりの哀しい凡人サリエリの話。
モーツァルトが変な人だったというのは、確か何かの本で読んだことがあった。
お父さんへの手紙に「うんち」とか「おしっこ」とかばっかり書いてあったとか。
相当やばい。ほんとやばい。
対して本当に「普通の」サリエリを視点に据えたというのが、
この物語のいいところだ。
何故なら世界は「哀しいくらい凡庸な人」の方が、κも含め、多いから。
なのにちゃんと「モーツァルトの人生のどうしょもなさ」まで伝わってくるところが、
更にいい。
(彼自身はそれを不幸とは思わなかったのかもだけれど。)
話は実にセオリーどおりで、非常にわかりやすい。
天才を妬みいじめる先輩。色々画策してみたり。古い少女漫画みたい。
老いたサリエリにあまり色々語らせなくてもよかったかも、
とは思った。
説明しなくても十分音楽と表情で伝わってくるから。
「レクイエム」を作曲する二人のシーンが一番すきだ。
モーツァルトの鬼気迫る天才ぶりも、それに必死でくらいつくサリエリも。
「嫉妬」とか「傲慢」とか、そういうのが全部弾け飛んだ瞬間で、
たぶんきっとあれが、
サリエリにとっての「人生最高の瞬間」だったんだと思う。
ほんと「才能」ってなんなんでしょう。
だって才能がある人もない人もあんまし救われないから。
そういうものなのかな。

