フィルムで観られてよかったと最初に思った程に、画が凄い。
どこにも存在しないからこそ徹底的に細部まで意味を与えられた背景達の、息苦しいほどの精密さ。
そして難解かつ引用をちりばめた「押井節」まるだしの台詞達。
『マトリックス・リローデッド』でウォシャウスキー兄弟が真似しようとしてコケてた謎掛け禅問答。
やっぱり本家は凄い、たぶん誰もついていけない。
というより、
「誰にもついてこさせない。」「いっそついてくるな。」を狙っているのじゃないかな。
前作である映画版「攻殻機動隊」とは、対になってるような造り。
オープニングの義体の製作過程、主人公の潜水、千切れる腕、独特の魅せ場とアンチ・クライマックス。
テクニックと習練度と大人度をあげた双子という感じ。
テーマのひとつである「人形と人間」。
「動く絵」である登場人物達も、またひとつの「人形」みたいなものだなと思ったり。
実写じゃなくて、本物みたいに作ろうとして、でも本物とは違う美しさを持ったもの。
本物の真似からはじまったのに、何か違う命をもったもの。
この映画自体が、また「人形」みたいなものかも。
そんな事を考えながら、少しでも絵と台詞を吸収したくて、息をとめて観ていた。
一度では吸収しきれないから、何度でも観たい、するめみたいな映画だ。
とは言え、
κは押井守監督の映画って好きなので贔屓するけれど、贔屓じゃなかったら辛い映画だろうな。
ストーリーが分り辛い。
(κは原作漫画を読んでたので話の骨格がわかったけれど、読んでなかったらどうだろう?)
前述の通り、台詞は難解で不親切まるだし。
押井監督の心の恋人である犬、ガブリエルが異常によく出てくる。
少なくとも、テレビでドカーンドカーンと宣伝する映画じゃないように思うんだけれど。
(渋東シネタワーにて鑑賞)

