きゅっと詰まって、ひっそり血の匂い。間抜けさん多し。
そして、存外と「恋」の話が多いことに気づく。擦れ違う恋人達だ。おそるべき恋愛小説群とも読める。
以下、ネタバレは無し。
■「石榴」名古屋名物(幻の)狢饅頭が食べてみたい。むじなまんじゅうって…どんな味?
■「赤い部屋」一番、現代で一般的に有りそうにも思う犯罪。オチが好き。
■「夢遊病者の死」夢遊病って乱歩かハイジでしか知らない。実際を知りたいな。間抜け度高し。
■「指環」みかんを買って鉄道で食べる、という図式に、もはや風情を感じる。食べたいな。
■「毒草」筋はたいした事ないのに、怖い怖い堕胎の話。怖いよう。
■「日記帳」なんでこう乱歩の恋する青年は「石橋を叩いて割る」ような勢いの奥手さんが多いのか。こんな告白、されてもわからない。
■「接吻」当時の会社員って4時に定時退社できたのか、という事実に何よりも驚愕だ。
■「モノグラム」現代だったら、「オレオレ詐欺」じゃないの?と、まず疑う話だと思う。見知らぬ人にいきなり自分の名前って、あんまり教えない。昔は平和だったのだね。
■「算盤が恋を語る話」こんな告白されてもわからないよシリーズ第2弾。どうして乱歩の男達って…(人の事、あんまり言えない) まあ、告白はもっとわかりやすくしようね、という教訓。
■「妻に失恋した男」タイトルが一番好きでした。
■「盗難」落語っぽい。ちょっとだけ新興宗教が絡むので、今だったら書きづらそうではある。
■「覆面の舞踏者」日本で覆面舞踏会ってところが、やや間抜け。仮面ってそんなに相手がわからなくなるものなのかな?
■「二廢人」夢遊病シリーズ。またも間抜け度高し。乱歩って、お人好しな人間に対して容赦が無いと思う。
■「虫」ザ・ネクロフィリア小説と言われてしまいそうな程、死体愛好シーンが鮮やか過ぎ。
ラストシーンの「おじぎ」が素晴らしく怖くて、好きだ。それが、単なる変態小説とは違うところなのではないかなあ。

