2007年02月06日

【映画】あるいは裏切りという名の犬

あるいは裏切りという名の犬.jpg


次期パリ警視総監を巡っての二人のおじさんの攻防(?)を描く話。
もっと二転三転していくストーリーなのかと予想してたけれど、
存外シンプルな話だった。
お話だけだったら、凄く良くできたテレビ朝日の刑事ものというところ。
是非、藤田まことと蟹江啓三でリメイクして欲しい。
(もうちょっとお洒落にまとめるならば、緒方拳と長塚京三も良い。)

しかし、テレビ朝日と一線を画すのは矢張り
「フランス人の渋さと美意識の底力」であろう。
ダニエル・オートゥイユが格好良い格好良い。笑いゼロで渋い。

ハリウッドとは違うなあといつも思うのは、俳優や女優の肌が荒れてるところ。
お鼻がちょっと曲がっていたり、ぶつぶつがあったりする。
でも、「それがまた、深みがある」のが不思議だ。
例えて言うならば、ハリウッドの俳優が千疋屋のつやつやの果物で、
こっちは市場で売ってるごつごつで小さくてひねてて、でも味が濃い果物って感じ。
どちらが優れてるとかではなくて、この味の濃さを存分に味わいたいのです。

そしてフランス女性のおんなっぷりも堪能。
娼婦のオバサンは我が家では
「キモノ・スリーブ(たぶん、日本の長襦袢だと思う)」をひっかけてくつろぐし、
「ち?とそこまでお買い物」の姿は、
さっくりとまとめた髪に金色のおおぶりのイヤリング、
オリーヴ・グリーンのコートをひっかけて
「絶対7センチはある」と思われる黒のピンヒール。
明らかに60才以上だと思うのだけど、これが格好良くて、見とれた。

昔に読んだ伊丹十三の本でも書いてあったけども、
フランス人て本当に「ぺらっとした、どうでもいいような革の」
コートを着るのが上手だ。
奥さん役が、これまた本当にぺらぺらの、
グレーのスウェードっぽいコートを羽織って出てきてた。
それがまた、とても似合っていたのが印象的。

あと、ハリウッドとは異なるタイプのアクションシーンが新鮮だった。
あんまり大掛かりじゃないところが逆に良かったのかも。

というわけで、この映画の良さって、
「一見フランス映画らしくないものを作っているのに、フランス文化が滲み出てる」
とこだとかっぱは思う。
だから、そういうのに興味が無い人にはあんまり面白くない映画だろうし、
ハリウッドでリメイクするらしいけども、
それって意味、無いんじゃ…とも思うんだけどな。
凄く派手派手なテレビ朝日刑事ものになるんじゃないかな。
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【映画】幸せのちから(試写会)

先月観たのに、書くのが遅くなってしまった。

ウィル・スミスが貧乏生活から脱却すべく、大手企業に就職できるか?という映画。
今では成功されてる方の実話らしいので、雰囲気としては「松下幸之助物語」とかそういうものなのか?と思って観始める。

「企業へ就職する為の知恵や工夫」がメインの話になるのかと思いきやそうでもなくて(勿論それもあったけれど)、後半は特に「お金が無いのはつらい」という話だった。

映画としてはペースものんびりだし、繰り返されるエピソードもちょっとくどい。
(そう、本当に「お爺ちゃんの昔話」的に、くどい。)
そして今となっては「全般的にウィル・スミスが走っていた」記憶しか無い程だ。ちょっと走りすぎなの。

だけども、毎晩寝る場所がなくて、子供を抱えて彷徨う姿にはこわいくらい説得力があった。
寝る場所が無いんだよ。おうちが無いの。そんなのって想像がつかない。

その映画を観た日、かっぱ達はお洋服を見て回ったりして、美味しいお茶を飲んで、今日は帰りにまわるお寿司を食べに行こうよ、お酒も飲もうよ、なんて、楽しく計画をたてていた。
それはごく普通のことだ、と思っていた私達に、日本ではどちらかというとお金を持っていない方である、と思っていた私に、その説得力は物凄い勢いでがつんとやってきた。

わたし、或る意味では、ものすごく幸せなんだなあ、
あんまり不幸がるのは止そう。と、つよくつよく思わされた。
そう考えちゃうくらいのパワーが、この映画にはあった。どんな形にせよ。

おまけ1:お父さんがハンバーガーをお家で作るシーンが印象的。矢張りアメリカ人はおうちでもハンバーガーなのか…ちゃんとトマトもスライスされていた。美味しそう。
おまけ2:大企業の人事部長さんかな?社長さんかな?のお偉いさんの演技が素晴らしくチャーミング。そこだけ、もう1回観たい。続きを読む
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2007年02月02日

【映画】千と千尋の神隠し

公開当時に観た時にはあんまりピンと来なかったのに、
観る度に段々好きになっていくな、この映画。

両親が掴まっちゃって落ち込む千に、
ハクがおにぎりをあげるシーンでぐっと来た。
「千が元気になる魔法をかけて作った」ってところが。
あれって、魔法が使えなくても、そういうことってある。と思う。
そして千が、泣きながらがっちりおにぎりを食べる所も、良かった。

あと、カオナシがそれまでガンガン御馳走を食べても満たされなかったのに、
銭婆の作ったケーキを美味しそうにちゃんと食べて、
紅茶もかおりを嗅ぐようにして飲んでたところも、良かった。
カオナシって、ほんと見てると身につまされる。

三回目なのに、他にも気づいてなかったところ、いっぱい。
紫陽花と山茶花と皐月がいっぺんに咲いていて、
ああ、やっぱりここは「こっちの世界」じゃないんだ…と思わされたり。
眼科らしい、目の模様だらけの看板は、「ねじ式」を思い出すなあと思ったり。
(「めめ」なんて書いてあったりもして、
あれは「めめくらげ」じゃないのかなあとも考えた。はずれかな。)

また忘れた頃にTVでやって欲しい。
その位の頻度で、また観たい。
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2007年01月14日

【映画】ドリームガールズ(試写会)

ドリームガールズビヨンセ.jpg

田舎から出てきたR&Bガールズトリオ「ドリーメッツ」が、
アメリカのスターダムにのしあがってゆく。
汚い事もやる敏腕マネージャー、可愛い子を前面に押し出す作戦、コネクション、
裏切り、スターとなっての栄光や薬や何やかや…という、
本当にスタンダードな「スターになる」話。
話は典型的だけれど素敵な曲がどんどんかかるし、
時代を感じるファッションも新鮮で面白い。

ビヨンセ演じる野暮ったい田舎娘が洗練されたスターになるまでの変貌(と、その段階)は兎に角見応えがあったし、
(あの)エディ・マーフィが女にだらしない、落ちぶれ気味の、いいところが殆ど無いスター役を演じたところも、なかなか味があってよかった。

あと、おデブでものすごく唄のうまい女の子の荒くれ方とかガッツなんて本当に和田アキ子ばりで、
「そうか、リズム・アンド・ブルースってのは浪花節なんだな」と、体で納得できた。

そして、かっぱは全く門外漢であるR&Bの世界は、やっぱり黒人の文化なんだなあと強く感じるばかり。
キラキラ光る金色のスーツの上下を着て「カッコイイ」んだもの。日本人だったらゲッツなのになー。不思議だなー。

けども、個人的に所謂「歌い上げる系」の唄を個人的にはそんなに好まないのと、
ミュージカルものがあまり得意じゃないという好みのせいもあってか、
後半の唄いまくり状態には、ちょっと飽きた。

ただ、そんな状態のかっぱでも最後のビヨンセの唄の迫力には目を見開いて、聴いた。
ビヨンセって全然知らないのだけれど(有名な人みたいなんだけど、)好きになったよ。
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【映画】犬神家の一族(1976作品・TV)

犬神家の一族横溝正史.

「悪魔の手鞠唄」を観たので、こちらも、と思って観てみた。
ストーリーがほぼ原作どおりで、細かい設定もかなりそのままであることに驚く。
あれだけの長篇を2時間に納めるのって、むつかしかろうに。凄い。
ただ、かっぱは原作を読んでいたからわかりやすい話に感じたけれど、
まっさらの状態で見たら、わかりづらい話かも。
家系図見ながら観たくなる映画だ。

市川昆監督の独特のカット、
(ぶつぶつと切れたヌーヴェルバーグっぽい感じのカットや、眼のアップ、黒い血飛
沫、兎に角走る走る、など)
ニ度目になると癖になって、面白くて堪らない。
あれ、現代でやったらば即刻誰かがパクって遊ぶ程、
わかりやすくてキッチュでポップで素敵な手法だ。もっと観たい。
でも、どうして回想シーンとかストーリーの端ッこの方の、
「どうでもいいエピソード」の時にばかり癖のあるカットが多いんだろ? 
遊びってことなのかな。不思議。

ヒロイン珠代さん演じる島田陽子さんが儚げで素敵。
特に登場シーンの、白いシャツに白いスカートの上下が良かった。
あと、「珠代さんの貞操や如何に!」と云うシーンで
「木綿でできてるみたいな、もったりしたフリルのついたシュミーズ姿」
になるのだけれど、今やシュミーズってば逆にエッチでどきどきした。

松子おばさまを演じる高峰三枝子さんも、おっかないけれど綺麗で、見応えあった。
草笛光子さんも綺麗だった。
昔の女優さんって、「素」の部分が見えないというか、浮き世離れしていて、
そこらへんに居ない位ずばぬけて麗しくて、「幻想」が有って、いいな、と思う。

レギュラーとなってる大滝秀治と岸田今日子は、もう、神の領域なので何も云うまい。

そのうち、いま公開している方の「犬神」も観て比べてみたい。
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2007年01月08日

【DVD】攻殻機動隊 STANDALONE COMPLEX "Solid State Society"

攻殻機動隊草薙素子少佐.jpg

「攻殻機動隊S.A.C.」シリーズ最新作にして、100分を超える初の長篇。
以前からこのシリーズは「大人」な作りだなあと思っていたけれど、今回も大人。

キャラが「成長」というより「老けてる」ところも(バトーさんの断髪理由は失恋なの? 少女みたいで可愛い)、
チーム編成で作られたせいか、統制のとれた「ひとり語り」じゃない脚本も、
シリーズの主要人物がさりげなくオールスター出演だったり、「光学迷彩」などの「攻殻用語」もキッチリおさらいしてたり、映画版との対比を見せるサービス精神も、
何より、近未来を語ってる筈なのに、「今、ここ」の事を考えさせられるテーマも。
哲学的とか、壮大で曖昧になりがちなアニメーションにおける「むつかしい話」ではなくて、具体的に真正面に切り込んでくるあたり。

そして、いつもいつも、「矛盾を認められない、純粋で凶暴な子供の論理」と「矛盾を認めた上で戦う大人の論理」がせめぎあう。
今回は、「今まで大人である事を自分に命じて来た人の子供の部分」が、シリーズ二つを経て遂に立ち上がった話だったんだ、と、個人的には感じてる。

そんな事を考えながら、何故か「膝をすりむいて泣く少佐」を描いた。
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2006年12月22日

【映画】レッド・ドラゴン(VHS)

なんべん見ても、盲目の女性を演じるエミリー・ワトスンの迫力には目が惹き付けられるなあ。
彼女があんまりにも自然に、なのに鮮やかに演じてるので、本来はメインである筈の「噛みつき魔」が霞んで見えるほどだ。

「羊たちの沈黙」の直後に観ると、流石、今回の主人公のウィルの方がクラリスに比べて会話のもっていき方が強引で、しかも駆け引きが上手だよなーと感心。
ウィルに散々やりこめられたから(かなりお返しはしてるけれど)、同じ上司(ジャック・クロフォード)を持つクラリスにも関心があったんだろうなあ、というのがよくわかった。

でも「羊たち〜」と「レッド・ドラゴン」だと、俳優の傾向が殆ど真逆で或為にジャック・クロフォードの印象が全然違うから、「羊」のジャックと「レッド」のジャックを同一人物だとわかるのが困難かも。

これも原作を読んでみたくなった。
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2006年12月17日

【映画】パルプ・フィクション(DVD)

「ユマ・サーマンとトラボルタのデートシーン(そっくりさんレストランでごはんを食べる)にて、ウェイターがスティーブ・ブシェミである」という情報を得たので、確認する為だけに観た。

※スティーブ・ブシェミとは、凄く個性的な顔をしたぎょろ目俳優。有名なところだと「アルマゲドン」「ファーゴ」「レザボア・ドッグス」などなど。

あんな派手な、個性的な顔の人を見落とすだろうか?と疑っていたのだけれど…
出てた、出てた。本当に出てた。眼鏡かけてたけれど、彼だ。
眼鏡ってやっぱり有効な変身手段なんだなあ。
それともκがぼんやり観てるだけなんだろうか。

それにつけても、本当にこのそっくりさんレストラン(名前はジャック・ラビット・スリム、もう憶えてしまった)でのデートシーンは好きだ。
このシーンだけでも20回くらい観てるかも。

、「そんなに親しく無い異性同士の初めてのデートっぽいごはんでのぎこちなさ」みたいなもの、ちょっとずつ仲良くなってくところ、
そういうのって、西洋でも東洋でも大人でも子供でも一緒なんだな!と、妙に共感してしまう。
(ただ、オタクなタランティーノの妄想脚本だから、、という可能性も、ある。)

この作品以外でも、タランティーノの作品ではどれでも、「ダイナーやレストランで、あんまり美味しくなさそうなごはんや甘そうな飲み物を飲みながら、かなりどうでもいい会話をだらだらしてる」シーンが一番好きで、
それこそがタランティーノの真骨頂だと思っている。
(なので、あまりだらだら食べて喋らない「キル・ビル」はそんなに好きじゃなかったりする。)

「特に何も起こってるわけじゃないのに、異様に面白くて格好いい」という映画があるということを、たぶん、初めて教えて貰ったから、刷り込みのように好きなんだろう。
是非、次回のタランティーノ作品では、ごはんお喋りシーンがありますように。
posted by κ at 14:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画、観たの

2006年12月15日

【映画】羊たちの沈黙(TV)

観るのは4回目くらいなのだけれど、やっぱり面白い。

■通常のアクション映画では見られない「FBIっぽい動作」に注目してみた。
特に、全弾を撃ち尽くして相手が(どう見ても死亡して)倒れても、「まず弾を全部こめ直して」、それから「相手の持っている銃を蹴りとばして撃たれないようにして」、それから「死亡確認」するあたり。好きだなあ。
(まあ、研修生が事件に関わることも含め、「本当はこんなじゃない」のオンパレードなんだろうけれど、そこは目を瞑る。)

■まさかこの映画で「FBI就職希望者」増えたりとかしたのかな、と考える。あり得るか。

■ワンシーンしか出て来ないのだけれど、パーティのシーンに出てくる「FBIの模様入りケーキ」が非常に美しい。どんな味がするんだろう。
そして、「綺麗だなあ」と思って見ていると、あっという間にそのケーキにナイフが。 
あれはやっぱりシニカルな意味なんだろうか。
妙に印象的なシーン。

■メジャーな映画にしては驚く程に説明を省いた作りだった事に、今さらながら驚く。
「嗚呼、このワンカットはそういう意味があったのか」なんて、今さら気付いたりした。鈍いなあ。
でもそうやって何度も観て楽しめる映画って、凄い。

■吹き替えだったのにはガッカリ。やっぱり、「ドクター・レクター」という呼び掛けが「レクターさん」っていうのは、違うと思うだけれどな。
 結構良いシーンも切られちゃってたし。
深夜なんだから、字幕、ほぼノーカットでやってくれてもいいのに。続きを読む
posted by κ at 12:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画、観たの

2006年12月13日

【映画】鉄コン筋クリート(試写会)

12月5日、九段会館での試写会にて鑑賞。

俳優ばかりの吹き替えを、
「宮崎アニメみたいになるのでは」と考えたのは杞憂だった。

特に主人公の一人、知的障害のようにも思えるし、天使のようにも思えるし、凶暴にも思える「シロ」を演じた蒼井優は素晴らしかった。
個人的には作品の要だ、と思っている「シロ」が駄目なら作品ごと駄目になるだろうと危惧してたけれど、最初のシーンですっかり安心。
完璧に「シロ」だった。別離のシーンでは泣いた。拍手。

また、原作そのまま、と思える丁寧なつくりの映像にも感心。
アニメーションになると、どこか「アニメアニメ」した、つるりとした作画になってしまうことが多いけれど、本当に漫画がそのまま動いている感じ。
(考えてみれば漫画はモノクロなのに、フルカラーの映画を「そのまんま」というのもおかしな話だ。けれど、色遣いがあまりにも「松本大洋のカラー」なので、本当にすんなりと受け入れられる。)

宝町がどかーんと目の前に広がった時は、感動した。

ストーリーもほぼ、原作どおり。(の、筈。)

なので、個人的に松本大洋作品の後半(および結末)があまり好きじゃ無いかっぱとしては、矢張、後半と結末はいまひとつ、というところ。
(アンチクライマックスだから、とかいうわけではないのです。)

只、これは原作にのっとった上での事なので、この映画作品に対する評価とは異なるでしょう。
観念的な話になる後半を頑張って動画にしたことには、敢闘賞をあげたいほど。

映像や脚本については賛否両論ありそうだなあとも思ったけれど(好きじゃない人は好きじゃないだろう、)
「松本大洋の世界を動かせる」ようになったことは、とても素敵なことだと思う。
是非、次回は(短編でも良いので)「ナンバー吾」も観てみたい。
posted by κ at 11:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画、観たの