2004年04月28日

【映画】イノセンス

映像と台詞、その両方からの怒濤の情報量に圧倒される。

フィルムで観られてよかったと最初に思った程に、画が凄い。
どこにも存在しないからこそ徹底的に細部まで意味を与えられた背景達の、息苦しいほどの精密さ。

そして難解かつ引用をちりばめた「押井節」まるだしの台詞達。
『マトリックス・リローデッド』でウォシャウスキー兄弟が真似しようとしてコケてた謎掛け禅問答。

やっぱり本家は凄い、たぶん誰もついていけない。
というより、
「誰にもついてこさせない。」「いっそついてくるな。」を狙っているのじゃないかな。

前作である映画版「攻殻機動隊」とは、対になってるような造り。
オープニングの義体の製作過程、主人公の潜水、千切れる腕、独特の魅せ場とアンチ・クライマックス。
テクニックと習練度と大人度をあげた双子という感じ。

テーマのひとつである「人形と人間」。
「動く絵」である登場人物達も、またひとつの「人形」みたいなものだなと思ったり。
実写じゃなくて、本物みたいに作ろうとして、でも本物とは違う美しさを持ったもの。
本物の真似からはじまったのに、何か違う命をもったもの。
この映画自体が、また「人形」みたいなものかも。

そんな事を考えながら、少しでも絵と台詞を吸収したくて、息をとめて観ていた。
一度では吸収しきれないから、何度でも観たい、するめみたいな映画だ。

とは言え、
κは押井守監督の映画って好きなので贔屓するけれど、贔屓じゃなかったら辛い映画だろうな。

ストーリーが分り辛い。
(κは原作漫画を読んでたので話の骨格がわかったけれど、読んでなかったらどうだろう?)
前述の通り、台詞は難解で不親切まるだし。
押井監督の心の恋人である犬、ガブリエルが異常によく出てくる。

少なくとも、テレビでドカーンドカーンと宣伝する映画じゃないように思うんだけれど。

(渋東シネタワーにて鑑賞)
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2004年04月01日

【映画】青い春(VHS)

松本大洋原作、男子高校内部を描く。

主人公の松田龍平、はじめて見たけど良い感じ。
「何考えてるかわからない、何するかわからない」雰囲気があった。
思えばデビュー当時のこの人への反発心は全て
「君が沖田総司なのは認めない、絶対」というものだったので、
そうでなければ腹もたたないのであった。

でも今回の敢闘賞は、友人の青木君役の彼に決定。
後半すべて彼がさらっていってしまった。
とはいえ、主人公だけじゃなく、それぞれの少年達にスポットをあてていて、
そのバランスが良かったな。

教頭先生役に美輪明宏の舞台で観た人が出ていたのも、すごく嬉しかった。

ミッシェル・ガン・エレファントの音楽も、
ひりひりするようなどうしようもなさに良くあっていたと思う。

本当に本当に「青春映画」だった。
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2004年03月10日

【映画】Undo(CATV)

山口智子が演じる奥さんが、とにかく何でも縛っちゃう病気になる話。
豊川悦司が旦那さん。岩井俊二監督。

たぶんこの映画は、
「雰囲気のあるお部屋で山口智子を縛る豊川悦司」
という絵面と雰囲気を楽しむためのものなんだろう。イメージ・ヴィデオみたいに。

だから、
「あんな大量のロープ、買ってくるの大変だろうなあ」とか
「ロープ、縛ってるっていうより、巻いてるって感じがするなあ。。。」とか
「縛りと言ったら亀甲縛り」とか思っちゃ駄目なんだろう。
でも思っちゃうんだよね。

いちまいの写真だったら嫌いじゃない絵だった。

「縛っていて欲しい、縛りたい」というテーマは面白いんだけれど、
思うに「縛る」という言葉をあらわすのに伝えるべきなのは、
「大量のロープ」ではなくて、
「ぎりぎりと皮膚にくいこむ感じ」なのではないのかしら。
跡つかなそうな縛り具合じゃ、何も縛れないよ。と思ってしまった。

最初の方で、奥さんが歯列矯正を外した後のキス後の豊川悦司の科白、
「うーん、メタリック感がないな。」
この「メタリック感」という言葉へのκの壮絶な違和感、
これがたぶんκのこの映画への違和感を集約しているような気がしてならない。

(以下ねたばれ。)

案の定奥さん、あの縛り方じゃものたりなかったのか、逃げてしまった。
でもさすがにあのぐるぐる巻きから逃げるって事は、、、
奥さん、縄抜け名人?

だから、こういうことを考えてはいけないんだろう。たぶん。
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2004年03月06日

【映画】アマデウス(VHS)

天才なのにどう見てもいかれてる、モーツァルト。
そんな彼にジェラシーしまくりの哀しい凡人サリエリの話。

モーツァルトが変な人だったというのは、確か何かの本で読んだことがあった。
お父さんへの手紙に「うんち」とか「おしっこ」とかばっかり書いてあったとか。
相当やばい。ほんとやばい。

対して本当に「普通の」サリエリを視点に据えたというのが、
この物語のいいところだ。
何故なら世界は「哀しいくらい凡庸な人」の方が、κも含め、多いから。

なのにちゃんと「モーツァルトの人生のどうしょもなさ」まで伝わってくるところが、
更にいい。
(彼自身はそれを不幸とは思わなかったのかもだけれど。)

話は実にセオリーどおりで、非常にわかりやすい。
天才を妬みいじめる先輩。色々画策してみたり。古い少女漫画みたい。
老いたサリエリにあまり色々語らせなくてもよかったかも、
とは思った。
説明しなくても十分音楽と表情で伝わってくるから。

「レクイエム」を作曲する二人のシーンが一番すきだ。
モーツァルトの鬼気迫る天才ぶりも、それに必死でくらいつくサリエリも。
「嫉妬」とか「傲慢」とか、そういうのが全部弾け飛んだ瞬間で、
たぶんきっとあれが、
サリエリにとっての「人生最高の瞬間」だったんだと思う。

ほんと「才能」ってなんなんでしょう。
だって才能がある人もない人もあんまし救われないから。
そういうものなのかな。
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2004年03月01日

【映画】アイデン&テティ

バンドブーム末期にメジャーデビューを果たしたものの、
売れたのはシングル一発のみというバンド、「スピードウェイ」。
それとそのギター担当の中島君の話。

原作みうらじゅん、監督田口トモロヲ、脚本宮藤カンクロウという、
「魔のトライアングル」と呼びたくなるような製作陣。
しかし作品自体はびっくりするほどストレートだ。

あまりにもストレートで、スタンダードで、「そのまま過ぎる」という気もしてくる。
「全てのバンドから抽出してきた普遍的なバンドの話」なんだろうな。

でも、だからこそ、バンドが好きで、ライヴを観に行くのが好きで、
そのぶん「日本のロックのしょうもなさ」が或る程度はわかるκとしては、
観ていて身につまされるものがあった。
個人的には、以前に住んでいた高円寺が「本当に、そのまんま」
出てくるところもツボだった。焼き鳥屋さんとかね。

一瞬、ドキュメンタリーなのじゃないかと思わされるリアルさも良かった。
ボーカルの名前が「ジョニー」だったり、打ち上げのお姉ちゃんの喋り方とか、
なんと白井良明作曲の、ビジュアル系バンドの音楽のべたべたさ加減とか。

そして、何よりも、4畳半の中島君の部屋の、
布団の柄が変。というのに泣けてしまった。
「餓死するわけではない日本の曖昧な貧乏」を表すのに、
あんなリアリティーを伴った布団はない、と思う。

映画としての出来云々よりも、ごく個人的に、嫌いになれない映画。
((2004.03.01 吉祥寺バウスシアター3観賞)
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2004年01月09日

【映画】アルマゲドン(TV)

地球におちてくる隕石を壊すため、
どういうわけだか力業で石油採掘業者のおっちゃんたちが宇宙にいく。
「地球を10回は救ってる男」ブルース・ウィリス主演。

前半の、「ヤクザっちいおっちゃん達が宇宙飛行士に」という
無理矢理な設定が面白かった。ドリフみたいで。
NASAの協力もあったらしいけれど、
宇宙飛行士の訓練シーンがもっとあったらよかったなあ、
心理テストとか身体検査とかじゃなくて、
もっとこう「NASAっぽいなー。」って感じの。
そこは見せてくれないんだ。NASAってケチだな。
あと宇宙に出ちゃうと、
「素人ならではの知恵」みたいなのがあんまり出てこなかったのが残念。

それにしてもアメリカという国は凄い。
全世界に喧嘩を売っている。
どう見てもいかれているロシア人宇宙飛行士、
「叩けば治る」という昔のテレビのようなロシア的宇宙船の治し方、
パリが沈もうが香港が沈もうが、アメリカさえ無事ならオールOK。
ナチュラルにこういう国なんだなあ。
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2003年09月06日

【映画】アメリカン・サイコ(VHS)

ブレット・イーストン・エリスが原作と言うことで観てみた。
エリスさんは「アメリカのおかねもちのどうしょもない感じを書くのが上手」という認識。
この映画もやっぱりそんな感じだった。

お肌のお手入ればっちり、どれだけ流行のお店に予約とってるか勝負、
キメキメスーツ、という、一昔前でいうヤン・エグというのかな?の話。

主演が「ベルベット・ゴールドマイン」のクリスチャン・ベールだったり、
(実はディカプリオが出演するという話もあった、)
意外といい役者、いいスタッフ揃えてるはずなのに、金持ちの話なのに、
パッケージからもむんむん漂う「安っぽさ」「しょぼ感」はなんなのだろう。

オープニングの「主人公が顔のパックを剥がす」シーンで、
いきなり眉毛にパックがへばりついて残っていたりする。

そして、筋肉むきむき君がすっぱだかでチェーンソーもって走るのには笑った。
しかも、チェーンソーを階段から落として頭上に落下させるってどうなんだろう?
チェーンソーの意味、ないじゃない。花瓶でいいじゃない。

もっと恐いのかなあと思ってたのに、自虐系のギャグみたいな映画だった。
実はそういう狙いの作品なのかもしれない。違うか。どうだろう。

名刺の出来具合で見栄の張り合いというシーンが好きだった。
色、質感、フォント、厚みとか異常に凝ってるし、負けたらべたべたにがっくりしてるし。
でもこれって、凄くデフォルメしてるから笑っちゃうけど、
多分自分達もやってることだ。
「携帯電話の見せっこ」とか「限定プレミアつきの古本」とか
「学歴」とか「どれだけマイナーな俳優を知ってるか」とか「レコード持ってるか」とか
そういうのと同じだよなー、例えそれが「お金がかかる」ものじゃなくても、
「物や知識によるアイデンティティ」であるってことは同じなんだ。
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2003年07月12日

【映画】アニマトリックス(VHS)

「マトリックス」の世界観をアニメでやってみよう、という短編集。

これは「マトリックス リローデッド」を観る前にみとけばよかったなあ。
あきらかに「リローデッド」にキャラも話も続いている。失敗、失敗。

ストーリー自体はあくまでもスピンオフ、サイドストーリーなので、
たいしたお話ではないのだけど、よくできてたです。
やっぱり日本人はアニメ作るの上手だなあ、と感心。

でも「マトリックス」って、
実写(って言って良いのか)だと「すっげええええ」と思うシーン、
アニメだと普通に感じるなあ。違和感が無いというか。
大体「アニメでやってることを実写でやってみよう」
というコンセプトで売れた映画をアニメにするって
元に戻ってるんじゃないのか、それ

東京が舞台の作品があって、
「電柱」と「信号が青の時のとおりゃんせ」が東京をよくあらわしてるなあ。
と感心。
でも「ぴぴぴぴーぴろり」というあの情けない曲が東京のテーマソングか。
と思うと、ちょっと、がっくり。

「マトリックスから目覚める」ことをテーマにしてる作品が多く、
その「覚醒」は「こっちの世界」から観ると悟りかも知れないし、
精神崩壊かもしれないし、という捉え方がとても面白かった。
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2003年04月04日

【映画】アメリ(VHS)

ジャン・ピエール・ジュネ監督、主演はオドレイ・トトゥ。

オープニングのアメリの「ひとりあそび」シーンに、
ひとりっこであるκはしょっぱなから感激した。
そうなんだ、しゃぼん玉とかお手玉とかいくらでもひとりでできるのだ。

それぞれのキャラの好きなこと、その日の気温、
そんな無駄なことがたくさん詰まっているところも、ツボにはまりまくり。

みどりと赤のうつくしい映像が素晴らしい。
「どのカットを切ってもポストカードになる」っていう力の入りよう、
さすがだ。
「CG」というと所謂「スター・ウォーズ」とか「マトリックス」的なものばかりが思い浮かぶけれど、
こういう風にも使えるのだなぁと感心。
先進的なものを駆使して、アナログな世界を構築することができるんだなあ。

「幸せになる」というキャッチコピーはどうも違う気がする。
インタビューによればジュネ監督自身も「人を幸せにするものをつくりたい」と思ってたらしいけど、
ジュネ監督自身が偏ってて病んでる人だから、
「相当かたよっててどっか病んでる人たちが偏っててもなんとか幸せになれる」
もしくは「幸せになろうともっぺん頑張ってみようとする」映画だ。

ところで「カフェ・ドゥ・ムーラン」の本日のおすすめ、
「アンディーヴのグラタン」ってどんなのなんでしょうね? 気になる。

それと、「喘息女」と「ストーカー男」のカップルはその後どうなったのだろう?

(初見は公開時渋谷シネマライズにて鑑賞)
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