2008年01月21日

【本】LAコンフィデンシャル(下)

先週の金曜日は、
朝から晩まで一日かけて(お仕事のぞく)
「LAコンフィデンシャル(下)」読破してしまいました。

特に後半の怒涛の展開に目が離せなくて。

しかし、上巻読了後の下巻入手に時間が空いてしまったためか
上巻の重要人物の名前をかなり失念しており、
黒幕(と言っていいのやら)の正体やらめくめる陰謀などは大体理解できたのだけど、

起点となる事件の実行犯を「AとBとCだ」と言われて
3人ともわからなくなってしまってる自分が悔しい。

把握しきれなくても面白かったので、もっと理解した上で読みたいと思うから、
今度は全・人間関係図をメモを取りながら二度目を読みます。
がんばります。

ストーリーの緻密さも凄味があるし、独特の淡々としながら臨場感のある文体も、好き。
(きっと原語だと更にそういう文体なんだろうな、
その雰囲気を翻訳者の人が一所懸命再現しようとしてくれてるんだと思う)

作者のJ・エルロイの事は殆ど知らなかったのだけど、
解説やウェブで少し調べたところによると
「10歳で母親が惨殺される様をベッドに手錠でくくりつけられて見ていた。(犯人は捕まらず)
 その後は暴行や薬などの人生で、刑務所にも入った。17歳以降学校には行ってない」という、
とてもハードな人生を送ってきた人なのだった。

あの文体や迫力のある物語を紡ぐパワー、執念すら感じるあのパワーは、
そういう人生から生まれてくるものなのかも。

「LA暗黒4部作」の『ブラック・ダリア』はもう読んでしまったので(これも面白かった、)
残りの2つも是非読んでみようと思うです。この人の本、もっと読みたい。

そうそう、彼の4部作の最後の作品『ホワイト・ジャズ』は
ジョージ・クルーニーの制作で映画化されるみたい。楽しみ。
果たして『L.Aコンフィデンシャル』映画版を超えられるか?

(原作を読んでわかった『L.Aコンフィデンシャル』映画版の脚本の素晴らしさ。
 何年にも渡る長期的な原作を映画では非常にコンパクトに纏めてるにもかかわらず、
 雰囲気とか大事なシーンとか刑事たちの格好よさ/悪さの味は、
 ちっとも失われてなかったのだな。
 映画も本も両方面白いって、なかなか無いので、ほんと凄いや。)
posted by κ at 12:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 本、読んだの

2007年12月03日

グミ?グリコ?

大槻ケンヂ「グミ・チョコレート・パイン」の
パイン編、一気に読んだ。
最初のグミ編を読んだのって…
すごーく、昔な気がする。下手すると高校生だったかもしれない。

なんだか勢いで書きとばした雰囲気が漂っていて、
「グミチョコ」ワールドを上手に畳めなかったみたいなのが残念。
オーケン自体が、
ヒロインの美甘子ちゃんにヤラレちゃってたみたいに感じた。

でもその、滅茶苦茶な感じとかストレートな感じとか
笑わせちゃうところとか若さとか全部まとめて
良い意味で「B級」な雰囲気が、
お客さんのいない映画館で見る一昔前の青春映画みたいで、

それこそがオーケンが描きたかったものなのかもしれないから、
それならそれで、いいのかも。

ところでκの地域では
「グミ・チョコレート・パイン」じゃなかったな、
「グリコ・チョコレート・パイン」で、
この階段遊び自体を「グリコ」と呼んでいた筈。
(あー、香川のこんぴらさんでグリコして遊びたい。)

皆さんのところではどうでしたか? グミ? グリコ?
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2007年06月15日

【本】蜘蛛男(江戸川乱歩)

先日の「蜘蛛男」話もあって、読み返してみた。

「蜘蛛男」の女性の容姿に対するきっぱりした好みの激しさが、
テッド・バンディーを思い起こさせた。

1970年代のアメリカの猟奇殺人犯で、自供してるだけで40人くらい犯して殺して犯して、
そして殆ど全部、黒髪でロングヘアーで真ん中分けで若い娘ばかりを狙った人。
頭は凄く良くて、弁護士を雇わずに、自分で自分の弁護をやってしまう程だった人。

でも、「蜘蛛男」の発表はバンディーよりも遥かに昔で、モデルにした筈もなく。

κが無学なだけで、昔からこういうタイプの猟奇殺人犯って、いたのかな? 
それとも「猟奇殺人犯は同じ女を狙う」みたいなのは、学説として、あったのかな?

それとも殆ど本能的に、直感的に、
「殺人鬼は同じ顔の女性が好きである」と、乱歩はわかってしまったのかな?
だとしたらそれが一番こわい。

まあ実際には、顔が同じという理由で
「次に狙われる女性はこの人だ!」っていうのが無いと話が進まないと言う、
即物的な理由だったのだろうとは思うのだけれど。

江ノ島の水族館の、人魚のシーンが好きだった。

そして、後半の犯罪インフレ状態(かなり無理矢理な大量誘拐)は結構笑えてくるのだけれど、
よく考えたら、「ベタなナンパで誘拐して40人以上殺した」のがテッド・バンディーなわけで、
彼の話をフィクションとして読んだら(掴まっても脱走までするのだもの)、
それこそ「無理矢理過ぎる」と感じるだろうな、と、複雑な気持ちになる。
posted by κ at 18:54| Comment(0) | TrackBack(1) | 本、読んだの

2007年06月14日

【本】夢遊病者の死(江戸川乱歩)

乱歩の短編集って好きだ。
きゅっと詰まって、ひっそり血の匂い。間抜けさん多し。
そして、存外と「恋」の話が多いことに気づく。擦れ違う恋人達だ。おそるべき恋愛小説群とも読める。

以下、ネタバレは無し。

■「石榴」名古屋名物(幻の)狢饅頭が食べてみたい。むじなまんじゅうって…どんな味?

■「赤い部屋」一番、現代で一般的に有りそうにも思う犯罪。オチが好き。

■「夢遊病者の死」夢遊病って乱歩かハイジでしか知らない。実際を知りたいな。間抜け度高し。

■「指環」みかんを買って鉄道で食べる、という図式に、もはや風情を感じる。食べたいな。

■「毒草」筋はたいした事ないのに、怖い怖い堕胎の話。怖いよう。

■「日記帳」なんでこう乱歩の恋する青年は「石橋を叩いて割る」ような勢いの奥手さんが多いのか。こんな告白、されてもわからない。

■「接吻」当時の会社員って4時に定時退社できたのか、という事実に何よりも驚愕だ。

■「モノグラム」現代だったら、「オレオレ詐欺」じゃないの?と、まず疑う話だと思う。見知らぬ人にいきなり自分の名前って、あんまり教えない。昔は平和だったのだね。

■「算盤が恋を語る話」こんな告白されてもわからないよシリーズ第2弾。どうして乱歩の男達って…(人の事、あんまり言えない) まあ、告白はもっとわかりやすくしようね、という教訓。

■「妻に失恋した男」タイトルが一番好きでした。

■「盗難」落語っぽい。ちょっとだけ新興宗教が絡むので、今だったら書きづらそうではある。

■「覆面の舞踏者」日本で覆面舞踏会ってところが、やや間抜け。仮面ってそんなに相手がわからなくなるものなのかな?

■「二廢人」夢遊病シリーズ。またも間抜け度高し。乱歩って、お人好しな人間に対して容赦が無いと思う。

■「虫」ザ・ネクロフィリア小説と言われてしまいそうな程、死体愛好シーンが鮮やか過ぎ。
 ラストシーンの「おじぎ」が素晴らしく怖くて、好きだ。それが、単なる変態小説とは違うところなのではないかなあ。
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2007年05月26日

【本】字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ (太田直子)

字幕屋.jpg

この本を読んで以来、
「全世界同時公開」という言葉が、ちっとも嬉しくなくなってしまった。
その裏の字幕作成のてんやわんやぶりが、面白いと言うよりも恐ろしいので。

英語がちっともきちんと聞き取れない癖に、
(「フルハウス」「ビバヒル」「テレ東のお昼の映画」以外の)吹き替えは嫌!という我儘なκには、
無くてはならないもの、字幕。
そんな素敵な字幕を作ってくれている人達の、舞台裏ならぬ銀幕裏事情。

字数制限が厳しいということは知っていたけれど、
まさかここまで時間的にも、製作的にも、金銭的にも厳しいものがあったとは。

κだってもはや純粋な子供じゃないのだから、
「映画会社の人は皆映画が好き、だから一所懸命いいものを理解して売ってくれる筈だ」
なんてのは理想だ、と、わかってるつもりではあった。
でも、ここまで、ここまで字幕は蔑ろにされていたとは。涙。涙で前が見えない。

例え公開が全米より1ヶ月遅れようが、
まともで素敵な字幕がついてくれる方がよっぽど嬉しい、と、個人的には思うのでした。

あと、この本、余計なものが削ぎ落とされてて的確で、小気味良い文章なところも好き。
さすが、シンプルな言葉を売る商売をされてる方は違う。
それから字幕についてのみならず、メールやブログで使う「文章」は文章じゃないなど、
「言葉」全般について言及してるところも面白いので必読。続きを読む
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【本】勝つために戦え!(押井守)

勝つために戦え!.jpg


「勝敗論」をテーマに、押井監督が色々おはなしする本。

なのだけど、
なにしろ引き合いに出されるのが殆ど全部サッカー。サッカー。サッカー。
「レアルって何?」レベルの門外河童には、見事な程にちんぷんかんぷんぷんぷんな世界。
押井監督がいくら「野球で全てを語ろうとする親父なんて駄目」と言っても、
「じゃあアンタは全部サッカーで語る親父じゃないかよう、一緒だよう」
としか思えないのには困ったな。

テーマも言ってることも、大体わかるし、そこは面白いのにな。
サッカーが好きな人が読んだら、きっともっと面白かろう。続きを読む
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2007年05月23日

【本】マイノリティ・リポート ディック作品集(フィリップ・K・ディック)

「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」で有名なフィリップ・K・ディックの短編集。

ディックの本って、ちっとも未来の話に感じられない。

「ジェイムズ・P・クロウ」は人種差別の話だったし、
「世界を我が手に」は、ガラス玉の中で世界を創って遊ぶなんて、
「たまごっち」とか「シムシティ(だっけ?)」を見事に予見していて吃驚だ。

覚えておきたい今回の単語としては
「プレコグ」(予知能力者)がある。
多分、こう、
ガンダムの世界においての「ミノフスキー粒子」みたいなもので、
(ここでガンダムを引き合いに出すのもどうかと思うけど)
SFファンからしたらば「そんなもの、当然でしょ」という初心者アイテムな単語なのだろう。
でも嬉しいから、暫く使うのだ。プレコグ、プレコグ。

因にプレコグって、
年が若いのによぼよぼに老いているという設定。
ここいらへん、『AKIRA』って、ディックの影響を受けているのかな、と思った。
よぼよぼの子供達が予見する未来。

表題にもなっている「マイノリティ・リポート」はトム・クルーズ主演で映画化されてるけれど、
未見なので、見てみようっと。
ちなみに最後の短編「追憶売ります」は、
「トータル・リコール」としてシュワルツネッガー主演で映画化されてる。
こっちは観たけど、基本設定をふくらましてアクション映画にしたんだな、という印象でした。

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2007年05月22日

【本】幽霊塔(江戸川乱歩)

「あんなに美しい女が、悪い人間なわけがない」

この文句を本の中で、何回聴いたことか。

「惚れたらお終い」という恋の力よりも、
「やっぱり美しい顔が惹き付けるものは、何か凄い」
という妙なパワーをしみじみと感じる一冊だった。

初回、乱歩を読むのが久しぶりだったので、
ついつい「乱歩だから」の気持ちを忘れて、
「本格推理」な気持ちで読んでしまって、失敗。

乱歩だっちゅうの。荒唐無稽だっちゅうの。

推理云々、オチ云々の細密な部分よりも、
「なんと、虎が!」「なんと、時計仕掛けが!」とか、
その物凄い展開と雰囲気を楽しむべきなのだった。
(註:乱歩にも本格ものもあるけど、まあ、こういうのも多い)
二回目は、楽しめました。

創元推理文庫で読んだのは初めて。
素晴らしい挿絵つきなのが良かった。
今まで頑に春陽堂で読んでたけども、挿絵付きのは、
こっちにしようと思う。
この後、ねたばれ。
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2007年05月21日

【本】お元気ですか(新井素子)

SF作家(と簡単に括っていいのか)新井素子さんのエッセイ。

印象的だったのが、
「中年になって太ってしまったら、妊婦と間違えられて席を譲られた」
というエピソード。

新井さんは穏やかな方なので、
そのまま席を譲られて、更に降車の際にお礼まで言ったとのこと。
でも、これ、実際には「失礼な!」と怒る方もいらっしゃるだろう。

友人に妊婦ができたκ、
最近は特に
「じじい・ばばあのみならず、妊婦が近くにいないかチェックする」ように電車内では気をつけるようにはなったのだけど、
昨今、所謂「マタニティ服」を着る人も少ないし、
「妊婦なのか」「単に腹が出てるのか」って、とても微妙で、確かに、困る。

個人的にはマタニティ服って好きじゃない。
ただ、「妊婦です」って記号として分り易いところには、利点があるのかな、とも、
こういう文章を読むと考えさせられる。

もっとわかりやすく、
「赤い帽子を被っていたら妊婦」とかって…駄目だろうな。。。
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2007年05月16日

【本】チグリスとユーフラテス(新井素子)

昨日、ふとしたことで新井素子の書評を目にして、
ついでにweb上の書評をいくつか読んでみた。

「チグリスとユーフラテス」、
数年まえに一読したけれど内容をあらかた忘れてしまってたので、
ざっと読み返してみた。

女の子の啖呵の切り方や格好のつけかた、
作者が「善い・格好いい」と思っている事が、
20年前の彼女の作品と少しも変わってない。
それに、とても違和感を感じた。

でも、大概の人間の「格好いい/よくない」という嗜好なんて、
20代くらいであらかた定まってしまってしまうものなのかも。
特に10代や20代前半で「自分」というものが強烈に確立してしまっている人ならば、
余計にそれは不動のものとなるだろう。
そういう人はいっぱいいる。

それが現代においても「格好いい」ととられるか、
「古い」ととられるか、という違いだけなのかな?
そんなことを考えた。
それともやっぱり彼女が「特殊」なのかな。そっちかな。

ところで、冒頭に書いたweb上のあまたの書評の傾向が面白かった。続きを読む
posted by κ at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 本、読んだの